彼女がその名を知らない鳥たち

女性なら一生のうち、一度くらいはこんな風に男性から愛されたいと思わせる恋愛映画です。

蒼井優の迫力ある関西弁、気だるそうな表情も必見です。
蒼井優が演じる主人公の十和子は、15歳ほど年上の陣治という、小柄で薄汚い男(阿部サダヲ)と同棲しています。
しかし十和子は、昔の恋人である黒崎さん(竹野内豊)を思い続けています。
ある時、十和子の腕時計が壊れメーカーへクレームの電話をしたら、十和子の自宅に水島という社員(松坂桃李)が現れ、このあたりからストーリーは一気にとんでもない方向に飛躍し、目が離せなくなります。
十和子と水島がラブホテルで愛し合うシーンは、ロマンティックとは程遠い、妙にリアルな、そんな描写も楽しめる映画です。

登場人物のほとんどが、人間のいやらしい欲とかずるさとか、救いようのないものをさらけだしていますが、一つ一つのシーンが空想の出来事のようにフワフワとした表現をしているので見やすいです。

特に面白いところは、男性の登場人物の十和子に対する愛です。

水島はその場しのぎの甘い言葉や適当なあしらいをしていて、とても十和子を愛しているとは思えません。
過去の恋人である黒崎さんは、金のために十和子に辛い思いをさせようとしたり、別れ際には暴力を振るって十和子に大怪我を負わせます。
一方、共に生活している陣治は、十和子がマッサージをしてくれと駄々をこねれば一晩中でもマッサージをします。

十和子にどんなに怒鳴られても文句を言われてもけなされても、十和子と一緒にご飯を食べたい、毎日一緒に過ごしたい、そんなふうに思っているのです。
変な男にそそのかされないよう、怪しい奴が現れれば尾行もします。
物語の終盤にはこれまでの真実が明かされます。
恋愛映画でもあり、ミステリーの要素も含んでいる物語なので黒崎さんが行方不明なのはどうしてなのか、というところも推理しながら楽しめるでしょう。

始まりから終わりまで、陣治は十和子をひたすらに愛します。
陣治が最後の行動を起こす前のセリフは忘れられません。

あれだけ十和子に散々な目に合わされてきたにも関わらず、陣治は十和子と過ごした日々はどれも嬉しかった、楽しかったと笑います。
ひたむきに十和子だけを見つめて世話をし続ける陣治を是非、映画で見て欲しいです。
こんな風に男性から愛されたいと思うのと、こんなふうに自分も誰かを愛せたら日々がもっと輝くだろうなと思いながら涙しました。
見た後、愛について考えずにはいられない深い恋愛映画です。

 

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